解説H13 キチン・キトサン(2) 研究と利用
C3
Q
:キチン、キトサンの研究状況と利用
A:環境分野で、キトサンが廃水処理用凝集
剤として最初に実用化されたほか、キレート形成能を用いる金属イオンの回収除去があ
る。キチン、キトサンのバイオリアクターへの活用も実用化に近づいている。医用材料
分野では、キチンの不織布が創傷被覆材(人工皮膚)として、綿状のキトサンが止血剤
として利用されている。また、キチン、キトサンの誘導体が化粧品に、キトサンが健康
食品に使われ、食品、衣服の抗菌剤としても使われている。農業分野でキトサ
ンが種子のコーティングや土壌撒布剤として使われるほか、生分解性プラスチックが開発されている。キチンからつくられるグルコサミンも健康食品として注目を集めている。
添付ファイル:最初の実用化は廃水処理用凝集剤としてのキトサンで、すでに30
年来使われている。キトサンの正電荷が、負に荷電した汚泥粒を凝集させる。キトサン
のアミノ基は重金属イオンとキレートを形成するので、めっき廃液からの金属イオンの
回収、工場排水からの重金属イオンの除去、海水中のウランの捕集などに使われる。酵
素、微生物、動植物細胞を固定化した反応器であるバイオリアクターにおいて、担体と
してキチン、キトサンが研究されており、かなり実用化に近づいている。一つは、多孔
性キトサンビーズに酵素を固定したもの、他はキトサンのカプセルやゲルの中に微生物
や動植物細胞を閉じこめたもので、有用物質だけを簡単に取り出すことができる。キチ
ンの短繊維から作った不織布は創傷被覆材(人工皮膚)として10年来使われている。
一方、キトサンは止血効果があるので、綿状にした繊維が止血剤として利用されている
。体の抵抗力を高める医薬品や、医薬品の徐放性担体等としても研究段階にある。最近
大量に消費されているのがキトサン入りの健康食品である。脂肪の消化吸収を阻害する
ことが知られており、また血中コレステロールを下げることが証明され、厚生省(当時
)の特定保健用食品として許可されている。キトサンは抗菌作用があることから、食品
や衣服に応用されている。化粧品にもキチン、キトサンの誘導体が添加されている。農
業分野でも発芽率、収穫量の向上効果があ
るとされ、種子のコーティング、土への撒布などが行われている。微生物により分解されるため、セルロースとの複合体など、生分解性プラスチックスの開発も行われている。
キチンからつ
くられるグルコサミンは、軟骨の主成分プロテオグリカンの構成成分であるため、変形
性関節症を改善すると
いわれて欧米で健康食品としてブレークしている。キチン、キトサンは古くて新しい天然素材であるといわれて久しいが、まだまだ潜在的機能が未開発であるように思われる。
参考文献:.
1.相羽誠一、“キチン・キトサンの利用”、染色研究45(4),112-116 (2001).
2.キチン、キトサン研究会編、“キチン,キトサンハンドブック”、技報堂出版(1995)
3.相羽誠一、“有用資源キチン及びキトサンの話、日本とタイとの共同研究”、通産ジャーナル、
32(4),72-73(1999)
4.相羽誠一、“キチン及び
キトサンの成形技術に関する展望とN−アセチル化によるN− アセチルキトサンゲルの調製条件の検討”、製品科学研究所研究報告、No.112,33-53(1988)
5.鈴木茂生監修“天然資源キチン・キトサンの活用法”,財界特別増刊11-30、財界研究所(1998)
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