54 第2章 技術・技能マニュアル 2.1 素材切断  2.1.1 シヤー切断(せん断切断の特徴)  シヤー切断は上下交叉する刃物で押切りする方法(せん断)であり、材料歩留りと量産性においては,他 の切断方法と比較して断然有利であり、鍛造目的の素材取り方法として最も広く採用されている。一般に シヤー切断は a)短時間に大量の材料が切断できる。切断時に切宵が発生せず、材料歩留りが良い b)切断工具(刃物)の消耗が少なく、ランニングコストが低い c)一度に大量の材料を材料置台に積載して切断してゆくので運転管理が楽である。 d)切断時に発生する熱や摩耗による揖失がほとんどなく、機械効率が優れている。 e)機械本体の耐用年数が半永久的である。 f)従って切断材1個あたりの切断コストが非常に安くなる。 等、多くの利点を有しているが、反面 a)材料の種類(軟質鋼)によってはシヤー面が著しく変化する。 b)異なる材料を切断する湯合、シヤー刃物の交換を含む、種々の段取り替えための夜雑な調整作業を行わ ねばならない。 c)材料の破断音が大きい 等、の欠点も有している。  シヤー切断により切断されたビレットの切断精度は真円度(変形)、変形量(だれ)破断面傾角、重量誤 差の4項目を指すがこの内最も重視されるのは、重量誤差である。表1に材質による切断精度を示す。シ ヤー切断による素材品質は棒鋼索析特性とビレトシヤー自体の特性に大きく左右される。素析に対する要 求項目としては a)素材の直径精度が良い事 b)素材硬度にバラツキがない事 c)スケール、油等の付着がない事 d)真円である事 e)延性が低く破断の発生が早い事(抗張力 が高い) 等がある。一方ビレトシヤーに対する要求 としては、適切な切断方式、切断刃の直径 や形状、切断刃の適性クリアランスの設定、 優れたビレトシヤーの機構及び能力が考え e D t ° e e D t ° e e D t °° e 真円度変形量破断面傾角重量誤差 引張り強さ硬度 kgf/mm2(HB) 40114S20C0.920.312±0.8 55160S38C0.940.290.6±0.7 60175S45C0.950.181±0.5 65190S53C/SUJ-2S0.950.180.9±0.5 70208S58C0.960.170.8±0.5 75220SMn4380.960.170.7±0.4 80233SMn4430.960.160.7±0.4 85247SCM4300.960.160.6±0.4 90260SCr4350.960.140.5±0.3 95275SCM4350.960.140.5±0.3 100293SCM4400.970.130.5±0.3 表1 切断精度4) α°%(L/D=2) 切断材 該当鋼種SI=1-(e/D)S2=t/D 55 図2切断時のトップベンディング図2切断時のトップベンディング 稼働ストッパ ビレット 固定刃 (平刃) 移動刃 (平刃) 図1慣用切断方式の自具機構 稼働ストッパ ビレット 固定刃 (平刃) 移動刃 (平刃) 図1慣用切断方式の自具機構 圧こん(上刃) カエリ 圧こん(下刃) ウネリ ヘタリ 剪断面 剪断面 図3切断材の各部欠陥 圧こん(上刃) カエリ 圧こん(下刃) ウネリ ヘタリ 剪断面 剪断面 圧こん(上刃) カエリ 圧こん(下刃) ウネリ ヘタリ 剪断面 剪断面 図3切断材の各部欠陥 固定ストッパ 移動刃 クランプ力 ビレット 軸方向圧縮力 固定刃 (円筒) 図4拘束切断方式の冶具機構 固定ストッパ 移動刃 クランプ力 ビレット 軸方向圧縮力 固定刃 (円筒) 図4拘束切断方式の冶具機構 られる。 (1)ビレットシヤーの切断機構  ビレットシヤーは図1に示す ように、上下2枚の平刃で押切り (せん断)する方法である。この 方式で切断される材料は図2の ように切断材が素材から切り離 される直前に材料先端が前方下 方に傾斜する現象(トップペン ド)が発生する。又、同時に残留する 素材が後方へクランプカに抗して押し 戻される貌象(バックリング)が発生する。その後 切断材は素材より分離されるが図3に示すように 結果的に各所に欠略変形を有する切断となる。この状 態での切断方式は一般的にフリー切断という。 上記のトップペンドを押さえる対策の一つとし て、切断材のペンディング方向と逆の方向に抗 力を与えるアップホールドを上刃(可動刃)直下 に設ける方法(アップホールド方式)があるが、 せん断力の50〜60%の支持力が必要であり、機 構上トップペンドを完全に阻止する事は困難である。  現在では図3に示すような拘束切断方式が主流となって いる。この方式によれば切断材のトップペンド及びバック リングを効果的に阻止する事が可能である。 (2)拘束切断方式  この方式の原理を図4に示す。本方式によれ ば、切断時のトップペンドを効果的に阻止する 事がある程度可能となる。棒鋼材(1)に、軸方 向の圧力(F)を与えて、ビレットの先端面を固 定ストッパー(5)に押し付けた状態で切断する ものであり、切断時のトップペンド力(Q)は Q=M・cos 8・t/2L となり(R)と(K)に分力さ れ棒鋼材(1)の先端面は、F+Rの反力をストッパー より受けるが、この反力により ビレットはトップペンドを発生 する事なく切断が進行する結果、 非常に高精度の切断材が得られ る。(3)超精密切断方式  拘束切断方式においては表1 に示すように、抗張力の高い材 料に対しては高い切断精度を得 ることが容易であるが、抗張力 の低い材料の切断精度は、最近 の冷・温間鍛造の要求精度を完 全には満していない。これは低 炭素鋼や球状化焼鈍された材料等の軟質材 を切断した湯合、拘束切断方式だけでは、 56 ラム 上丸刃 油圧シリンダー(0.5〜1ton) 下丸刃 ガイド 材料軸圧(1〜1.6ton) 蹴り出ピン(メカ連動) 冶具本体 上刃上昇ピン(シリンダー又はばね) 打撃ツール(0.5〜0.7m/sec) 刃物ホルダー ストッパーヘッド(固定) 図65)丸刃−丸刃形式拘束切断方式 ラム 上丸刃 油圧シリンダー(0.5〜1ton) 下丸刃 ガイド 材料軸圧(1〜1.6ton) 蹴り出ピン(メカ連動) 冶具本体 上刃上昇ピン(シリンダー又はばね) 打撃ツール(0.5〜0.7m/sec) 刃物ホルダー ストッパーヘッド(固定) 図65)丸刃−丸刃形式拘束切断方式 90° 89.5° 89° 直角度( ) S55C SUJ2S 15C L D SCr420 D=30mm L/D=2 Al6151 0.250.5 0.7511.251.5 図75)切断速度と直角度の関係 切断速度(m/s) (DLB100 MN型) 90° 89.5° 89° 直角度( ) S55C SUJ2S 15C L D SCr420 D=30mm L/D=2 Al6151 0.250.5 0.7511.251.5 図75)切断速度と直角度の関係 切断速度(m/s) (DLB100 MN型) トップペンドの力によって棒鋼自身の先端面が反力に 耐えきれず押しつぶられることにより トップペンドが発生し、その結果、切断 精度が低下する。最近ではこれを解決す る方法として、丸刃一丸刃型高速拘束切 断方式なるものが開発されている。この 方式は、図6に示すとおり上、下の刃物 を円筒状に形成し、その刃物径をできる限 り切断材料径に近づけるとともに、切断速 度を0.5〜0.7m/secまで上昇させた状態で材料 を切断する方法である。上、下円筒状の刃物で囲 むので、トップペンドの力をストッパーと上刃 の下方部分で支持でき支持面積が丸刃一平刃拘束切断 方式より増大する為、軟質材でもビレット自身が潰れ る事なくトップペンドを防ぐ事ができる。しかし、この方式の問題点は、上下の刃物の直径を可能な限り 棒鋼径に合せる必要がある為、 棒鋼材の直 径誤差が小さい事が要求される。従ってピー リング材や引抜材あるいは、精密圧延材を用 いねばならず、黒皮材では円筒刃の効果が充 分発揮できない恐れがある。又、図7に示す ように切断速度を速くすれば、切断時の材料 延性を低くし切断面の直角度及び平滑度は良 くなるが、あまり速すぎると切断刃に対する 衝撃負荷が増大し、切断刃に割れや欠けが生 じ、材料と析料及び材料と刃物との焼付が発 生する等の問題が発生してくる。貌行では 0.7m/s位が限度である。 (4)切断刃・せん断における破断理論  素材のせん断は図8に示すように上、下(固定刃・移 (5)ストッパー (固定) (F + R) ∝ P (2) 上刃 (可動) t K R Q F + R C (1) 素材 D- L M=0.6-0.5P 固定 (3) 下刃 F Q=tMcos 2L =Tcos R=Qsin=tMsincos 2L K=Qcos=tMcos2 2L 図53)軸方向拘束切断方式 (5)ストッパー (固定) (F + R) ∝ P (2) 上刃 (可動) t K R Q F + R C (1) 素材 D- L M=0.6-0.5P 固定 (3) 下刃 F Q=tMcos 2L =Tcos R=Qsin=tMsincos 2L K=Qcos=tMcos2 2L (5)ストッパー (固定) (F + R) ∝ P (2) 上刃 (可動) t K R Q F + R C (1) 素材 D- L M=0.6-0.5P 固定 (3) 下刃 F Q=tMcos 2L =Tcos R=Qsin=tMsincos 2L K=Qcos=tMcos2 2L 図53)軸方向拘束切断方式 57 動刃)2枚の刃物で素材を挟んで押し切りする方法で ある。分離面が形成されるには、刃物が素材に食込み はじめて塑性変形によるだれを生じ、この時点でせ ん断面が形成される。次に素材内部に刃物が食込む と、固定刃、移動刃双方から上下にクラックが発生 し、最後に上下より進行したクラックが会合し分離 面が形成される。この分離面形成段階でせん断面に は図9のような種々の欠焔が発生する。これらの欠陥 発生に重要な因子として働くのが、素析の特性(延性 の大小)、切断刃の形状、切断刃のクリアランス、切 断方式等である。又、欠略に対する対策を表2に示す。 〓刃物形状及びクリアランス  刃物形状は、一般的に図10のような形状が使用さ れているが、実際にはこれらを組合わせて、固定刃、 又は移動刃として使用されている。せん断における刃 物クリアラスは切断精度を左右する上において重要な 要素を占めるものである。クリアランスを設定する目 安は切断素材硬度であるが、前項に記載した破断機構 から判るように、クリアランスの最適条件は上下から のクラックが中心で会合し、なおかつ図9に示す各種 の欠焔が発生しない最小値が最も良い。クリアランス が大きい湯合は、だれ、端面の凹凸、耳(階段)が大 きく、又端面傾き(直角度)も悪くなる。逆に小さす ぎる湯合は、かさぶた、二次せん断面が発生する。こ れらは材料の種類及び材料径によっても変わる為、テ スト切断等を行い最適条件を決定する必要がある。表 3にクリアランス設定の目安を示す。クリアランスを 設定す目安は、素材硬度が基準となる為、実際には表 3に示す硬度基準でテスト切断を行い、破面形状が改 善されない場合は素材の延性が影響していることも考 えられる為、再度クリアランスを加減して決定する。  一般的には刃物クリアランスを加減調整する湯合、 下記の破面形状を目安に増減する。 写真2超精密切断方式ビレットシャー写真2超精密切断方式ビレットシャー クラック発生遅れ 変形能向上因子 棒材 曲げモーメント 剪断面大 かさぶた 停留亀裂 クラックの刃先の外に向かう 変形能向上因子 変形能向上因子 変形能低下因子 クラックの刃先の外に向かう 端面凹凸大 二次剪断 押えだれ 移動刃 図82)剪断の条件・作用因子と材料のゆがみ、クラック 進行方向および付随するビレット欠陥 クラック発生遅れ 変形能向上因子 棒材 曲げモーメント 剪断面大 かさぶた 停留亀裂 クラックの刃先の外に向かう 変形能向上因子 変形能向上因子 変形能低下因子 クラックの刃先の外に向かう 端面凹凸大 二次剪断 押えだれ 移動刃 図82)剪断の条件・作用因子と材料のゆがみ、クラック 進行方向および付随するビレット欠陥 破断面 停留亀裂 かさぶた 剪断面 圧こん 端面傾き (a) 停留亀裂とだれ(b) かさぶた (c) 星 (d) 耳(e) 二次剪断面(f) 端面凹凸 (g) 端面傾き (X-Y) 端面ゆがみ (h) 端面ゆがみ (i) 圧こん 端面凹凸 X l0 d0 だれ 図92)種々の剪断欠陥の見かけと定義 二次剪断面 破断面 停留亀裂 かさぶた 剪断面 圧こん 端面傾き (a) 停留亀裂とだれ(b) かさぶた (c) 星 (d) 耳(e) 二次剪断面(f) 端面凹凸 (g) 端面傾き (X-Y) 端面ゆがみ (h) 端面ゆがみ (i) 圧こん 端面凹凸 X l0 d0 だれ 図92)種々の剪断欠陥の見かけと定義 破断面 停留亀裂 かさぶた 剪断面 圧こん 端面傾き (a) 停留亀裂とだれ(b) かさぶた (c) 星 (d) 耳(e) 二次剪断面(f) 端面凹凸 (g) 端面傾き (X-Y) 端面ゆがみ (h) 端面ゆがみ (i) 圧こん 端面凹凸 X l0 d0 だれ 図92)種々の剪断欠陥の見かけと定義 二次剪断面 58 表26)破断面を伴う慣用剪断においての個々の素材欠陥を防止する指針と具体的対策 剪断素材欠陥欠陥防止に対する指針具体的対策 材料延性の低下素材を冷間用引き抜きをする 剪断時曲げ防止延性材料を使用する 素材の均一保持丸穴カッターを使用する L/D(長さ/直径)を大丸棒とカッターのクリアランスを詰める 剪断速度を上げる 材料延性の低下素材を冷間用引き抜きをする 剪断時曲げ防止延性材料を使用する 素材の均一保持クリアランスを減少させる L/D(長さ/直径)を大棒軸を傾ける 丸穴カッターを使用する ストッパーを使用する 剪断速度を上げる 材料延性の低下延性材料を使用する 切断刃の鋭利化クリアランスを減少させる 切断刃を再研磨する 剪断速度を上げる 材料延性の低下素材を冷間用引き抜きをする 剪断時曲げ防止延性材料を使用する 素材の均一保持クリアランスを減少させる L/D(長さ/直径)を大丸穴カッターを使用する ストッパーを使用する クリアランスの減少クリアランスを減少させる 均一クリアランスを使用する 棒軸を傾ける 剪断速度を上げる 切断刃の鋭利化切断刃を再研磨する 材料延性の低下潤滑を行う 棒軸方向拘束の解放素材を冷間用引き抜きをする 丸穴カッターを使用する 材料延性の増加剪断速度を上げる 棒軸方向拘束の解放棒材焼鈍を行う 丸穴カッターを使用する 材料延性の低下素材を冷間用引き抜きをする 棒軸方向拘束の解放丸穴カッターを使用する 切断刃の鋭利化クリアランスを増加させる 切断刃を再研磨する 亀裂方向の制御クリアランスを増加させる 均一クリアランスを使用する 棒軸を傾ける 端面のゆがみ 端面傾き だれ圧痕星耳ばり影 剪断ばり 59 剪断素材欠陥欠陥防止に対する指針具体的対策 材料延性の低下素材を冷間用引き抜きをする 亀裂方向の制御延性材料を使用する 切断刃の鋭利化適正クリアランスを採用する 半丸刃を使用する 切断刃を再研磨する 剪断速度を上げる 潤滑を行う 材料延性の低下素材を冷間用引き抜きをする 亀裂方向の制御延性材料を使用する クリアランスを増加させる 半丸刃を使用する 均一クリアランスを使用する 棒軸を傾ける 剪断速度を上げる 潤滑を行う 材料延性の低下素材を冷間用引き抜きをする 延性材料を使用する 半丸刃を使用する 潤滑を行う 材料延性の低下棒材を冷間用引き抜きをする 亀裂方向の制御クリアランスを増加させる 丸穴カッターを使用する 軸方向拘束の解放する 材料延性の増加棒材焼鈍を行う 無欠陥棒材の使用 加熱剪断を行う 剪断速度を上げる 切断刃の鋭利化材料延性の低下 材料延性の低下クリアランスを減少させる 軸方向拘束の解放する 切断刃を再研磨する 剪断速度を上げる 潤滑を行う 端面ゆがみ、傾き棒材を冷間用引き抜きをする 凹凸及びだれ低延性材を使用する 圧痕の減少切断刃を再研磨する 剪断速度を上げる 端面凹凸 停留亀裂 二次剪断 タング又は、かさぶ た ヘアークラック 端面硬化 重量ばらつき 60 130 120 110 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 00.51.01.5 2.03.0 3.54.04.55.02.5 クリアランス”C” [mm] 材料直径”D” [mm] 表37)クリアランス設定のめやす 8575 7060 5550 45 40 30 65 kg/mm2(抗長力) *“C”の値は上刃、下刃の合算値です。 130 120 110 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 00.51.01.5 2.03.0 3.54.04.55.02.5 クリアランス”C” [mm] 材料直径”D” [mm] 表37)クリアランス設定のめやす 8575 7060 5550 45 40 30 65 kg/mm2(抗長力) 130 120 110 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 00.51.01.5 2.03.0 3.54.04.55.02.5 クリアランス”C” [mm] 材料直径”D” [mm] 表37)クリアランス設定のめやす 130 120 110 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 00.51.01.5 2.03.0 3.54.04.55.02.5 クリアランス”C” [mm] 材料直径”D” [mm] 表37)クリアランス設定のめやす 8575 7060 5550 45 40 30 65 kg/mm2(抗長力) *“C”の値は上刃、下刃の合算値です。 可動丸平刃固定丸刃 可動丸刃可動、固定、丸平刃 可動丸刃(四面用)可動、固定、角平刃 図10切断用刃物形状 可動丸平刃固定丸刃 可動丸刃可動、固定、丸平刃 可動丸刃(四面用)可動、固定、角平刃 図10切断用刃物形状 目安は、素材硬度が基準となる為、実際には表3に示す硬度基準でテスト切断を行い、破面形状が改善さ れない場合は素材の延性が影響していることも考えられる為、再度クリアランスを加減して決定する。  一般的には刃物クリアランスを加減調整する湯合、下記の破面形状を目安に増減する。 a)クリアランスが小さすぎる湯合  切断刃面が上左図のような状態の湯合はクリアランスを増加する。  b)クリアランスが大きすぎる湯合 切断刃面が上右図のような状態の湯合はクリアランスを減少する。 〓最良クリアランス 上刃 かさぶた R方向矢視 へこみL方向矢視 下刃 LR ストッパー (a)クリアランスが小さすぎる場合 クリアランスが上図のような状態 の場合はクリアランスを増加する 上刃 かさぶた R方向矢視 へこみL方向矢視 下刃 LR ストッパー 上刃 かさぶた R方向矢視 へこみL方向矢視 下刃 LR ストッパー (a)クリアランスが小さすぎる場合 クリアランスが上図のような状態 の場合はクリアランスを増加する 上刃 下刃 LR うねりうねり L方向矢視R方向矢視 切断刃面が上図のような状態の場合 はクリアランスを減少する。 上刃 下刃 LR うねりうねり L方向矢視R方向矢視 切断刃面が上図のような状態の場合 はクリアランスを減少する。 61  切断が最良のクリアランスで行われているか否かは破断面の直角度、及び図のようなキャトアイ(cat eye)が中心にできているかどうかで判断する。キャトアイとは猫日石の光沢のように、破面をどの角度か ら見ても1点を中心とした略円形の光沢を発する部分である。硬度の高い材料ほど明瞭に出るが、硬度の 低いS25C以下の材料でははっきり出ない湯合がある。 〓刃物の特殊加工(ヌスミ形状)  軟質鋼等の大きなクリアランスを必要とする材料に対しては、単に上下刃物の間隙を与えて切断すると 図11の様な耳(階段)が破断面両側部に発生する。この様な「階段」を残すと、以後の鍛造工経で欠陥品 を発生する事がある為、切断刃に特殊な加工を行う事により、階段の発生を無くす事ができる。 〓刃物のヌスミ加工  刃物にヌスミ加工を行う湯合クリアランスが小さくて良いときは上刃、又は下刃のいずれか一方にヌス ミ加工をすれば良いが、クリアランスが4mm以上必要とされる場合(クリアランスが小さい揚合でも実施 Cat eyeCat eye 階段階段 図11『階段』の発生箇所 階段階段 図11『階段』の発生箇所 EE d D E-E矢視 3/2D3/2d 図12ヌスミの形状 EE d D E-E矢視 3/2D3/2d 図12ヌスミの形状 FF F-F矢視 図13下刃のヌスミ形状 FF F-F矢視 図13下刃のヌスミ形状 D 1/2C yc x2+y2=D2 C D 2 x2+yc 2=C 2 2 yc=C D C 2 2 -x2 の円 クリアランス 材料 ヌスミ 図14理論的ヌスミ形状 D 1/2C yc x2+y2=D2 C D 2 x2+yc 2=C 2 2 yc=C D C 2 2 -x2 の円 クリアランス 材料 ヌスミ D 1/2C yc x2+y2=D2 C D 2 x2+yc 2=C 2 2 yc=C D C 2 2 -x2 の円 クリアランス 材料 ヌスミ 図14理論的ヌスミ形状 62 する事がある)は、上下刃物のヌスミ加工を行う方 が「階段」部の消去状態が良好である。上下刃物の ヌスミ量の合計がクリアランス量となれば良い。一 般的には等分に振分する。図12及び図13にヌスミ 形態を示す。 〓刃物のヌスミ形状  理論的なヌスミ形状は図14に示すように楕円曲 線に従って、ヌスミ加工を行うのが最良であるが、 この様な形状を加工する事は至難である。従って、 経験的に大略図15の様なヌスミ加工を行っても結 果は良好である。 〓刃物の修正方法  切断刃は切断量を重ねるに従って適切な時期にリ シンク(修正)を行う必要がある。  一般的な切断刃のリシンクサイクルは ・硬質鋼の場合 5000〜10000個 ・軟質鋼の場合 30000〜40000個  程度であるが、切断する鋼種によっても差がある。リシンクの方法はグラインダー砥石、又は平面研磨 機、旋盤等を使用している。 a)丸平刃の修正  刃物直径は切断材料径とほぼ同径に仕上げてある為、1〜2mm小さい直径を有する砥石棒で図16のよ うに研削する方法がある。この方法については、ある程度の熟練度が必要であるが、簡易法としてよく使 われている。又、平面研磨機や旋盤を使用して、刃物の厚み方向加工による修正方法もある。又、円筒刃 の修正は旋盤により修正する方法が最も経済的である。 b)刃物材質   D C/2 D - 2 mm RR 図15実践的ヌスミ形状 D C/2 D - 2 mm RR 図15実践的ヌスミ形状 芯を回転するつもり で水平に前後進 研削方向 棒砥石 図16上刃の修正方法 芯を回転するつもり で水平に前後進 研削方向 棒砥石 芯を回転するつもり で水平に前後進 研削方向 棒砥石 図16上刃の修正方法 図17下刃の修正方法図17下刃の修正方法 JISCSiMnWV DHA NR−1SKD61〜SKDll0.391.10.4-0.6 ウデ ホルムSKD61C0.3710.4-1 表4 刃物鋼の代表的な成分 63   一般的には、Ni−Cr−Mo鋼、Ni−Mo鋼、Ni−W鋼、Si−Cr鋼が使用されている。  JISの規格の鋼種としては、SKD61〜SKDll相当の刃物銅が多く使用されている。平均的な刃物硬さは Hrc54軽度であるが刃物材質により異なる。 (5)切断機の自動化及び高精度化  最近の切断機の自動化、高精度化は相当進んでいる。切断素材のスットクから、切断機材料架台への供 給をコンピュータ←制御により自動化しているところもある。又、素材の材質確認についても、素材端面 1100 1000 800 600 400 200 (300) 650 850 1050(1020) 空冷 塩浴 (250) 時間 ℃ 1H 1H 3H焼入 ℃ 600 400 200 焼戻 520〜600℃ 空冷 時間 図18刃物鋼の熱処理 1100 1000 800 600 400 200 (300) 650 850 1050(1020) 空冷 塩浴 (250) 時間 ℃ 1H 1H 3H焼入 ℃ 600 400 200 焼戻 520〜600℃ 空冷 時間 図18刃物鋼の熱処理 2段蹴り出し架台 製品用パレット 計量機 端末,NG品パレット 電気操作盤 (動力盤兼用) 図19ビレット重量制御切断レイアウト 2段蹴り出し架台 製品用パレット 計量機 端末,NG品パレット 電気操作盤 (動力盤兼用) 2段蹴り出し架台 製品用パレット 計量機 端末,NG品パレット 電気操作盤 (動力盤兼用) 図19ビレット重量制御切断レイアウト 目標値 NG NG 材料1本目材料2本目材料一本目 NG域 重量補正区域 NG域 先端サンプル補正 先端サンプル 補正 重量補正区域 NG材先端サンプル 補正 図20重量コントロール切断の実例 目標値 NG NG 材料1本目材料2本目材料一本目 NG域 重量補正区域 NG域 先端サンプル補正 先端サンプル 補正 重量補正区域 NG材先端サンプル 補正 図20重量コントロール切断の実例 64 棒材直径測定 径データによる演算 (定寸長さ変更) 先端切断 サンプル切断 秤量チェック 重量測定 生産切断 秤量チェック 重量測定 生産切断 残長測定 端末長さ測定 (スライスカット防止) 端末処理工程 切断中止 作業者呼び出し 切断中止 作業者呼び出し 重量データによる演算 (定寸長さ変更) 重量データによる演算 (定寸長さ変更) NG1 NG2 OK 10秒毎 NG1NG2 OK 図21重量調整システム 棒材直径測定 径データによる演算 (定寸長さ変更) 先端切断 サンプル切断 秤量チェック 重量測定 生産切断 秤量チェック 重量測定 生産切断 残長測定 端末長さ測定 (スライスカット防止) 端末処理工程 切断中止 作業者呼び出し 切断中止 作業者呼び出し 重量データによる演算 (定寸長さ変更) 重量データによる演算 (定寸長さ変更) NG1 NG2 OK 10秒毎 NG1NG2 OK 棒材直径測定 径データによる演算 (定寸長さ変更) 先端切断 サンプル切断 秤量チェック 重量測定 生産切断 秤量チェック 重量測定 生産切断 残長測定 端末長さ測定 (スライスカット防止) 端末処理工程 切断中止 作業者呼び出し 切断中止 作業者呼び出し 重量データによる演算 (定寸長さ変更) 重量データによる演算 (定寸長さ変更) NG1 NG2 OK 10秒毎 NG1NG2 OK 図21重量調整システム 65 である。このコントロールシステムは (α)域、(β)域の設定値にもよるが、 決してNG域に達するビレットが発生 しない点に大きな利点がある。その他、 切断刃の交換は従来、人手により段替 を行っているが、移動刃、固定刃をカ セット方式で組込み、全自動により10 分以内で段替可能な装置も実用化され ている。写真4に刃物自動段替切断機を 示す。 (6)シャー切断における一般的な作業手 順 作業工捏確認及び注意事項 (1)材質、材料径の確認 (2)材料曲り、表面状態 (1)稼動刃、移動刃のエッジ部点検割れ、欠け、摩耗状態 (2)材料径に適合した刃物を使用 (3)切断刃表面に、異常な焼付及び荒れのない事 (4)固定刃に対する可動刃の芯、切断方向の芯が正常である事 (5)刃物クリアランスは適切であるか (6)可動刃スライド部のスキマが適切である事 (3)材料送りフイーダーの高さ調整 材料送り方向の芯が固定刃の中心である事 (1)ストッパー材料当り面が異常摩耗していない事 (2)ストッパー取付部(ホルダー)にガ夕ッキがない事 (3)析料当り検知ガ正常である事 (5)手動操作にて切断材を1本刃物中に送 り込む (1)材料がスムーズに刃物内に入る事 (1)破断面の状態を確認する、直角度破面のタング(かさぶ た)、耳の発生変形、かえり、バリ (2)切断長、又は切断重量をノギス、電子はかり等で確認する (7)材料受け缶の準備 (1)材料缶内にビレットが入っていない事を確認する(異材混 入) (8)指定切断個数を確認後、自動連続運 転、又は、断続運転にて切断を開始する。 (1)指定個数に1回抜取りにて、品質チェックを実施する。 表5 シャー切断における一般的な作業手順 (1)切断素析を材料架台に供給する。 (2)切断刃の準備及び段替 (4)定寸ストッパーの位置調整 (6)手動一工程切断で2〜3ケ試験切断を 行う、不良であればクリアランスの変更等 を行い、最適条件を決定する. 写真4刃物自動切替装置を付属した切断機写真4刃物自動切替装置を付属した切断機 66 刃物クリアランスの調整 切断長ストッパーの位置設定 試験切断 刃物修正 切断重量決定 生産切断 生産切断 切断長 測定 切断精度 測定 品質チェック 表3のめやすで設定 テストピース 2〜3個 (1)ヌスミ加工 (2)研磨加工 NG NG OKOK (1)切断破面目視 (2)直角度 (3)表面キズ (4)カエリ、バリ(1)電子ハカリ (2)自動計量 (1)生産切断個数設定 NG 指定個数に一個抜取検査 (1)限度見本 (2)簡易測定器 図22 試験切断の手順 刃物クリアランスの調整 切断長ストッパーの位置設定 試験切断 刃物修正 切断重量決定 生産切断 生産切断 切断長 測定 切断精度 測定 品質チェック 表3のめやすで設定 テストピース 2〜3個 (1)ヌスミ加工 (2)研磨加工 NG NG OKOK (1)切断破面目視 (2)直角度 (3)表面キズ (4)カエリ、バリ(1)電子ハカリ (2)自動計量 (1)生産切断個数設定 NG 指定個数に一個抜取検査 (1)限度見本 (2)簡易測定器 図22 試験切断の手順 67 測定項目測定方法測定器具 直角度 デジタル角度 計 Vブロック ダイヤルゲー ジ 変形量 ノギス マイクロメー タ 切断場量及び長さ マイクロメー タ ノギス 電子ハカリ 破断面の状態目視 図23 切断ビレットの精度測定および器具 切断長 応力歪量 真円度 切断長 応力歪量 真円度 測定基準面 角度ゲージ Vブロック 定盤 ダイヤルゲージ 測定基準面 Vプロック (1) (2) 測定基準面 角度ゲージ Vブロック 定盤 ダイヤルゲージ 測定基準面 Vプロック (1) (2) (8)切断ビレットの測定精度および器具 68 参考資料 1)湯野沢 栄勝「鍛造技報,9,17(1984)59」 2)日本塑性加工学会編「技術シリーズ4、鍛造」 3)日本鍛造技術研究所「鍛造技術講座、製造技術編」 4)塩川 博康「素形材‘97,12切断ビレットの重量管理」 5)塩川 博康「〓万陽 技術論文:精瘡切断の立場」 6)中川 威雄、工藤 英明、田村 公男「塑性と加工24、271(1983)830」 7)〓万陽「切断マニュアル」